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企業主導型保育のメリット・デメリットを考えてみよう!part2

キャリアフィールド(株)が運営する保育専門求人「求人情報ナビ+V」より転載。

保育士も知っておきたい政治のお話を連載しています。

毎週更新。

 

 

 

保育士も知っておきたい政治のお話し

 

企業主導型保育のメリットは?

いくほ
今までの施策だけでは待機児童対策として不十分だったから、新しい制度を作ったんですよね?どんなメリットがあるんでしょう?

ここがみ
まず、企業主導型保育事業の特徴の一つとして、認可外保育施設でありながら、認可保育所並みの助成金を受けられます。企業にとっては、費用負担が減るので、大きなメリットですよね。また、設置運営の経費が減るので、保育料を認可保育所並みに安く設定できるかもしれません。そうなると、保護者にとってもメリットです。

いくほ
そっかー!それは家計に優しいですね。

 

ここがみ
企業主導型保育の2つ目の特徴は、設置にあたり、市町村の関与を必要としないで、企業が自由に設置できることにあります。

いくほ
だから“企業主導型”なんですね。

ここがみ
新制度の地域型保育事業では、市町村の認可が必要です。でも、少子化による将来の人口減などを理由として、積極的に認可しないところもあるとされ、保育の受け皿が増えない一因とも言われているんです。

いくほ
そうだったんですか。先を見据えて計画的に、施設だけあとで残っても…って感じなんでしょうか。今これだけ困ってる人もいるのになぁという感想も持ってしまいますが。

 

ここがみ
あとは、保護者が施設との直接契約によって自由に利用できることも特徴として挙げられています。認可保育所の場合、保護者が利用したいと言っても、まず自治体の保育認定が必要になります。保育の必要性が高いと判断された人から優先的に利用できるようにする制度なのですが、勤務時間が短いパートさんなどの場合、保育の必要性が低いと判断されて、認可保育所に入れない場合も結構あるんです。

いくほ
保育認定をもらえるようにあえて離婚する人もいるとか…。「保活」がニュースでも話題になっていますね。

ここがみ
直接契約だからこそ、パートや非正規の方でも利用できる。しかも、さっき話した通り、認可保育所並みの安い保育料で子どもを預けられる可能性があるので、保護者にとってメリットがあると考えられています。

 

 

企業主導型保育の懸念点は?

いくほ
すごく画期的な制度に思えてきました!ちなみに、デメリットとしてはどんなことが挙げられているんですか?

ここがみ
一つは、保育の質の低下が懸念点として挙げられています。新制度下の事業所内保育施設(定員20人以上)より、人員配置など基準が低く設定されています。事業所内小規模型に準ずる基準だそうです。それだったら、認可保育所を増やすことに財源を使うべきなのではないか?という声もありますね。

いくほ
企業にとっては基準が低いほうが設置しやすくて施設も増やしやすいんだろうけど…。難しい問題ですね。

 

ここがみ
また、この制度が、企業が従業員を体良く使うための口実になってしまう危険があるのではないか?という懸念も挙げられています。

いくほ
どういうことでしょう?

ここがみ
土日の保育や24時間保育も運営可能であるとされています。多様な働き方に応じられるという点ではメリットと言えますが、そもそも育児休暇・介護休暇をもっと取りやすくするべき!深夜業は免除されるべき!ということで「育児・介護休業法」が定められています。企業内保育事業は、これと逆行するもので過度に早期復職を促してしまうものではないか?という指摘もあるんです。

いくほ
そういうことか…。保護者だけでなく、子どもにとっては…という目線も忘れてはいけませんね。でも、ブランクが仕事に影響を与えるんじゃないかと不安に思う人もいるだろうし。

ここがみ
保育施設は、働く保護者を支援するためのサービスという側面もあり、子どもの命を預かる、また人間形成の基礎を築く大事な時期に関わる施設でもあります。待機児童解消だけが焦点ではなく、私たちの働き方・生き方が問われてくるテーマですね。

 


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参照
1)内閣府「企業主導型保育事業について(チラシ)」
2)内閣府|企業主導型保育事業の概要
3)厚生労働省「[平成28年度]事業所内保育施設設置・運営等支援助成金のご案内」
4)的場 康子 |WATCHING「企業主導型保育事業に期待すること」2016.7(第一生命経済研究所 ライフテザイン研究本部)
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